・肩ベルトが切れちゃった!直したい
・ブランド物だけど直せるの?
・公式ショップに頼んだら高額だった!多少見た目が変わっても安く何とかしたい
最近、修理とオーダーを頂け始めたTKです。
こんにちは。
会社の先輩から依頼がありましてショルダーバッグの肩ベルトの修理をお願いしたいとのことでした。
バッグは奥様の私物でブランドはcoachでした。
そもそも修理は過去に作り直しは経験ありましたが、現物への追加工はほぼ初めてなので、できるかどうか現物見るまでは五分五分でした。
しかも今回はブランド物。
果たしてできるのかどうか。。。
受け取った現品の状態がこちら
コバ処理のコーティングが剥がれてしまっています。
今までコーティング剤は使ったことなかったですが、何とかなりそうな気がしたので、今回の依頼を受けることにしました。
ひとまずコーティング剤を準備しなくてはならないため、早速、某ハンドメイド用品専門店へ。
コーティング剤を購入してきました。
クラフト社が輸入販売しているFENICE(フェニーチェ)というブランドのコバコーティング剤です。
英語ではエッジペイント(Edge Paint)というようですね。
今回のコーティング剤の色を作るために黒と青を購入しました。
他にも色んな色が取り揃えられているので、コバコーティングしてみたい人は一度お試しあれ。
◆FENICE フェニーチェ プロフェッショナルエッジペイント 25ml 全20色
しかし、いざコーティングしてみると、
少しわかりにくいかもしれませんが、中央の少し反射している部分がコーティングを塗ってみたところです。
実は左右のコーティング剤が残っているところに比べて、一段低くなっており、コーティング剤を盛り上げることができません。
どうやら、コーティング剤が剥がれたというよりは、下地の素材ごと切れて取れてしまっているようです。
こうなるとコーティング剤をどんなに積み上げでもなかなか元の高さに合わせることができません。
(塗っても塗ってもどんどん染み込んで、全然高さが確保できない状態でした。)
仕方ないので、コーティング剤が剥げてしまっている部分をカットし、つなぎ合わせる方法で対応したいと思います。
カットして、糸でつなぎ合わせ、継ぎ目にコーティング剤を塗って目立たなくしました。
これで完成したと、意気揚々、奥様にお渡しし、非常に喜んでいただけました。
めでたし、めでたし。
とはならなかったのですorz
しばらくは使えていたそうですが、何回か使用した時に、
こんな感じで亀裂が入り、糸も外れそうになってしまいました。
聞けば、こんな細い肩ベルトなのに、バッグ本体はそこそこ大きいそうで、重量に耐えられなかったようです。
ベルトが細いものなのでてっきり小さいポーチくらいかと思い込んでいました。
coachさん、なかなか攻めた設計してますね。
この細さだと肩に食い込んで長時間だと肩が痛くなりそうです。
しかも女性用ですしね。
さて、ということで再度修復することになりました。
バッグのサイズ感も理解したところで頑丈にしつつ、肩が痛くならないように少しカスタムします。
加えて、外観を損なわないようにする必要がありますね。
なんせcoachブランドなのでね。
しばらく近い色の材料を探していたのですが、全く見つからずorz
(coachさん、革の色が特殊すぎますよ。。。)
どうしたもんかと悩んだ末に思いついたのが、
coachの革を使えばいいじゃないか
ということで、coachの革をゲットすべくネットを漁り始めたところ、ほぼ同色のバッグがジャンク扱いで投げ売られていました。
これは買いだ!
ということで早速入手。
試行錯誤の末、バッグ本体の革を切り取って肩ベルトの肩当て兼ベルトの接合にしました。
早速手順を紹介します。
まずは肩当てのサイズ感として20cmほど革を準備します。
女性の肩なのでこれくらいで十分だと思います。
次に切断した部分が2度と外れないようにナイロン糸で肩当ての革としっかり縫い付けます。
ちなみに元のベルトの構造は、薄い革の間にクッション材を挟んで縫い付けてあり、革自体の厚みは1mmもない感じでした。
縫い付け方法としては、肩当て用の革とベルト全体を縫い付ける方法です。
ベルトの表から裏まで貫通させて全部を縫い付けているため、非常に頑丈になっています。
忘れていたのですが、肩当て用の革のコバをコーティングする必要がありました。
この時点で気づいてよかった(笑)
こんな感じですね。
まだ塗れる状態でした。
さて、気を取り直して次の工程です。
今度は縫い付けた肩当て革をベルトに巻き付けていきます。
こんな感じです。
一回折り曲げて巻いたところです。
ちなみに巻きつける時は、必ず間にレザークラフト用の両面テープを貼っています。
こうすることでズレる心配がなくなるのです。
更に両面テープを貼って、もう一回巻き付けてナイロン糸の縫い目を隠します。
こんな感じ。
ここまで巻いたら革の余っている部分を先ほど巻きつけた中間部分と縫い付けます。
この部分ですね。
縫い付けられるように巻きつけるときに少し余白を残して巻いてあります。
さあ、縫い付けていきます。
ここは外側に見える部分なので先ほどのシニュー糸(ナイロン糸)ではなく、コバのコーティングと同じ色のビニモ糸を使用して縫い付けます。
ビニモ糸は、こちらもナイロン糸なのですが、更に表面にロウ引きされていて、ほつれることなく縫い進めることができる糸です。
太さも色々、カラーも色々選べるのでなかなか良いです。
ただし、これでもかっ!てほどロウが塗ってありますので、使用するときはお好みに合わせてロウを落として使用してください。
私も今回、仕上がりを綺麗にしたかったので表面の白っぽいロウが見えなくなるまで落としました。
それでも縫ってる最中にまだロウが擦れて出てきます。
時々ロウを掃除しながら縫い進めてください。
さて、そんなこんなで縫い終わったところです。
個人的には納得できてないのですが、ここまで来て後戻りも出来ないので、泣く泣くこれで仕上げに取りかかります。
次同じ様な作業がある時には縫い線を両サイドから引いていこうと思います。
縫い線の仕上がりがレザークラフトの顔と言っても過言ではないと思います。
(これは過言ではなくホントに目立つのでちゃんとしていきたいです)
気を取り直して次の工程です。
縫い終わったので縫い線に沿って余った革をカットします。
こちらが表。
こちらが裏。
肩に当たる側ですね。
写真で見ると粗が目立ってすごく嫌なんですが、現物を見ると写真ほどではないので、少しホッとしてます。
カットしたコバにコーティング剤を塗れば完成です。
ちなみにコーティング剤を塗る時は何度か重ね塗りすることをオススメします。
たまに一回で綺麗に仕上がる時もありますが、全部の範囲で一回で綺麗にするのはなかなか難しいです。
専用のローラーがあるのでそれを使えば一回で綺麗にできそうです。
◇ レザークラフト コバ塗り 2WAY ローラーペン – 道具 革 工具
ということで完成です。
ベルトと肩当て接合部。
折り曲げてもコーティングは剥がれません。
全体像。
実際に使用されるバッグ。
サイズ感。
こんなに大きいなら最初から頑丈にしとけば良かった(笑)
でも一度ダメだったから今回の材料に出会えて、新しいチャレンジに繋がったと感じています。
依頼主に感謝。
最後までお読み頂きありがとうございました。
また次の記事でお会いしましょう。
それでは。